月のクレーターには、ティコ、コペルニクス、ケプラー、プラトン、クラヴィウスなどの名前があります。月面図と照らし合わせると、肉眼で目立つ明るい筋から望遠鏡で見える細かな地形まで探せます。
この記事では、有名な月のクレーターの名前、位置と特徴、名前の由来、見つけやすい月齢を初心者向けに解説します。

月のクレーターとは
クレーターは、小惑星や隕石などが月面へ高速で衝突してできた円形のくぼみです。大きなクレーターには盛り上がった縁や中央丘があり、周囲に飛び散った物質が明るい筋として残るものもあります。
月には雨や川、強い風、活発なプレート運動がほとんどありません。そのため古い衝突跡が地球より残りやすくなっています。長く残る理由は、月のクレーターが消えにくい理由で詳しく解説しています。
有名な月のクレーターの名前
| 名前 | 位置・特徴 | 見やすい時期 |
|---|---|---|
| ティコ | 南側。満月時に放射状の明るい筋が目立つ | 満月前後 |
| コペルニクス | 中央より西側。縁と中央丘が分かりやすい | 上弦を過ぎたころ |
| ケプラー | コペルニクスの西側。明るい筋を持つ | 上弦から満月の間 |
| プラトン | 北側。底が暗く平らに見える大型クレーター | 上弦前後 |
| クラヴィウス | 南側。内部に複数のクレーターが並ぶ | 上弦前後 |
最初からすべて覚える必要はありません。満月でティコの明るい筋を探し、半月前後にコペルニクスやプラトンの影を確かめると、光の当たり方による違いも理解できます。
ティコの特徴と見つけ方
ティコは、月の南側にある比較的新しいクレーターです。満月前後には、ティコを中心に明るい筋が四方へ伸びて見えます。この筋は衝突で飛び散った物質が月面に積もった「光条」です。
満月ではクレーターの凹凸は目立ちにくいものの、ティコの光条は探しやすくなります。肉眼でも月の南側に明るい点を感じることがあり、双眼鏡を使うと筋の広がりを確認しやすくなります。
コペルニクスとケプラーの違い
コペルニクスは、月の中央よりやや西側にある大きなクレーターです。段差のある内壁と中央丘を持ち、太陽光が斜めから当たると影によって立体感が分かります。
ケプラーはコペルニクスより小さく、その西側にあります。満月に近づくと光条が目立ちます。月面図では、まず大きなコペルニクスを見つけ、そこから西側へ移動してケプラーを探すと位置関係を覚えやすくなります。
プラトンとクラヴィウスの特徴
プラトンは月の北側にあり、底が暗く平らに見えることから、周囲の明るい山地と区別しやすいクレーターです。雨の海の北側を目印にすると探しやすくなります。
クラヴィウスは月の南側にある大きなクレーターで、内部に複数の小さなクレーターが弧を描くように並びます。望遠鏡の見え方や空の状態を確かめる目安にもなる地形です。
クレーターの名前の由来
月のクレーターには、天文学者、数学者、科学者、哲学者などの名前が多く使われています。コペルニクス、ケプラー、ティコは、天文学の歴史で知られる人物に由来します。
月面地形の正式名称は、国際天文学連合が整理しています。クレーター以外にも、山脈、谷、月の海などに名称があり、同じ地形を世界共通の名前で確認できます。
クレーター名を公式情報で確かめる方法
月面地形の正式名称を確認するときは、米国地質調査所(USGS)が国際天文学連合(IAU)のために運用するGazetteer of Planetary Nomenclatureを使えます。このカタログには、IAUが承認した惑星・衛星の地形名が収録されています。
- カタログの検索欄に、英語名(例:Copernicus)を入力する
- 対象天体が
Moon、地形種別がCrater, cratersになっているか確認する - 中心緯度・経度と直径を確認し、USGSの月面表側公式図で位置を照合する
たとえばコペルニクスの公式登録ページでは、月のクレーターであることに加え、中心位置と直径約96kmを確認できます。市販の「命名証明書」はIAUの公式名称にはならないため、調べ学習や観察記録ではこの公式カタログの名称を使うと確実です。
この記事はクレーターの正式名称・由来・代表例を扱います。月の海とクレーターを形や影から見分けたい場合は、役割の異なる月の海とクレーターの見分け方を参照してください。
クレーターの周囲に連なる高い地形については、月の山がどうやってできたかで、地球の山との違いや代表的な山脈を解説しています。
クレーターはいつ見やすい?
縁や中央丘の凹凸を見るなら、上弦や下弦の前後が向いています。明るい部分と暗い部分の境界付近では太陽光が斜めから当たり、クレーターの影が長く伸びるためです。
一方、ティコやケプラーの光条を見るなら満月前後が分かりやすくなります。観察したい特徴によって月齢を選ぶことが大切です。日程を決める場合は、月齢カレンダーの見方も参考になります。
| 見たい特徴 | 向いている月齢 | 注目点 |
|---|---|---|
| 縁・底・中央丘 | 上弦や下弦の前後 | 明暗境界線近くの影 |
| ティコの光条 | 満月前後 | 南側から伸びる明るい筋 |
| 複数クレーターの位置 | 上弦から満月の間 | 月面図との位置合わせ |
月の海や山脈との見分け方
月の海は暗く広がる平原、クレーターは円形のくぼみ、山脈は細長く連なる高い地形です。月の海の上にも新しいクレーターがあり、クレーターの周囲には山地が連なるため、実際の月面では複数の地形が重なって見えます。
形と影で判別する方法は、月の海とクレーターの見分け方で詳しく整理しています。望遠鏡の倍率を知りたい場合は、月のクレーターは何倍で見えるかも役立ちます。
まとめ
月の有名なクレーターには、ティコ、コペルニクス、ケプラー、プラトン、クラヴィウスがあります。人物名に由来する名称が多く、月面図で位置を確認すると観察しやすくなります。
凹凸を見るなら上弦や下弦の前後、ティコなどの光条を見るなら満月前後が目安です。同じクレーターを月齢を変えて観察すると、月面地形と太陽光の関係も分かります。
